デニス・アルトマン講演会(東京・京都)

(以下転載)

デニス・アルトマン氏(ラ・トローブ大学教授・元アジア太平洋エイズ学会長)講演会のお知らせ

アジア地域のMSM(Men having Sex with Men)のなかには、世界のほかの地域同様、数多くのHIV感染者がいる。たとえば、タイ・バンコクにおいてはMSMの30.8%、ビルマヤンゴンにおいては29.3%(いずれも2007年)がHIV陽性であるという報告もある。また、日本においても、2008年に報告されたHIV感染者1126人の約7割が男性間の性的接触を感染経路とするものであり、MSMのHIV感染者は年々増加する傾向にある。

こうした状況のなかで、HIV感染を予防する介入事業は、個人レベルの知識強化と態度変容を基本とする伝統的なアプローチを再検討し、MSMが(性)生活を送るコミュニティの規範や、さらにはより広く社会の構造や権力関係等に注目して介入事業をデザインする構造的なアプローチを模索するようになっている。そのようなアプローチを構築する際に必要な考慮とはどういうものであろうか。

本講演会は、長くアジアにおけるMSMとエイズを眺めてきた講演者による講演のなかから、HIV感染とこれをめぐるポリティクスが生起するコンテクストをより深く理解するためのヒントを得ることを目的とする。

※タイやビルマの数字は、2009年8月、インドネシア・バリで「From 200 to Ø」(アジア地域で1日200人のMSMがHIVに感染する現状を0人にという意味)と題して開催されたフォーラムでFrits van Griensven(米国CDC/タイ政府保健省)によって行われた発表「HIV Epidemiological Status of Men who have Sex with Men and Transgenders in the Asia Pacific Region」という講演から、日本の数字は厚生労働省「平成20(2008)年エイズ発生動向年報」からの引用である。


■日時・場所

(1) 東京: 1月22日(金)18:30−20:30 (18:15開場)
   東京大学駒場)アドミニストレーション棟 学際交流ホール

(2) 京都: 1月24日(日)18:00−20:00 (17:50開場)
   京都大学医学部 芝蘭(しらん)会館別館 2階研修室1   

■題目
 「アジア的価値とゲイ解放」(講演90分、Q&Aセッション30分(予定))

■講演者名・プロフィール
 デニス・アルトマン氏(オーストラリア ラ・トローブ大学教授、同大学人間の安全保障研究所所長)。1970年代はじめ、ゲイ解放運動黎明期には運動に理論的な枠組みを提供した研究者として広く知られ、1980年代以降は、エイズ分野でも活躍、ICAAP神戸時にはアジア太平洋エイズ学会会長もつとめた。著作としては、『グローバル・セックス』(2005年、岩波書店)や『ゲイ・アイデンティティ―抑圧と解放』(2010年1月、岩波書店)などが邦訳・出版されている。

■言語
 英語(ただし、東京会場では同時通訳者、京都会場では逐語通訳者による通訳がつきます)

■対象 
 ジェンダーセクシュアリティエイズに関する分野で研究・活動する研究者・学生、活動家等

■参加申込先・問合せ先
 以下のメールアドレスまで、ご氏名、ご所属、人数についてメールでお知らせください。(参加申込は、配布資料等、準備を円滑に行うためのものであり、当日参加を妨げるものではありません)
 ★岡島克樹 E-mail okajimkアットosaka-ohtani.ac.jp (アットを@に変換して下さい)


■主催: 文部科学省科学研究費補助金付調査研究「東南アジアにおけるMSM(Men having Sex with Men)に対するエイズ対策と国際協力機関・研究機関の支援動向」(基盤研究(B)、課題番号19402013、研究代表者:岡島克樹(大阪大谷大学人間社会学部)、研究協力者:河口和也(広島修道大学人文学部)、風間孝(中京大学国際教養学部))。

■協力:<東京会場> 市野川容孝(東京大学大学院総合文化研究科)
    <京都会場> 木原正博(京都大学医学研究科)・鬼塚哲郎(京都産業大学文化学部)・MASH大阪