眠れずに

 日記を書いてベッドに入ったのが午前4時過ぎ。お酒も入っていることだし、さすがにこの時間なら入眠剤は必要ないだろうとたかをくくっていたら結局眠れずに5時半を回ってしまいました。やれやれと諦めてマイスリーを飲んで、煙草を一服して膝にマルを抱えたままつれづれなるままに。


 眠れないベッドの中でなぜか初恋の人のことを思い出していました。高校時代(正確には高専時代)にはかなくも破れたほろ苦い思い出です。あまりにも不器用だった18歳の私。想いをストレートに口にすることしかできなくて、その結果そりゃ当然だろうという拒絶に打ちのめされた思い出。今の私なら、今の私の経験と知恵とズルさを持ったままあのときに戻れるなら、もしかしたら違った結末になっていたかも知れない初恋。ユーミンの「NO SIDE」さながらに。
 「もしも時間を巻き戻すことができるなら」というのは多くの人が願うことなのかもしれません。でも私は普段はあまりそういうことは考えません。今の自分を私は決して嫌いではないし、今まで生きてきた40年間という時間と経験は今の私を作り上げるにはどうしても必要なものだったと思えるからです。でもときどき、たとえばこんな風に眠れない明け方の暗闇の中では、できることなら18のあの頃に戻りたい、戻ってやり直したいと考えてしまうのです。
 あの人はいまどこで何をしているんだろう。
 会ってみたい。会って昔のバカな自分のことを謝りたい。そしてやっぱり今でも好きだと、今の私の言葉で伝えたい。

 そんなことを考えてしまうのは眠れない夜だから? それとも、時が過ぎて痛みを忘れて甘い思い出だけが残った40歳の冬だから?
 そうなのかも知れない。でも。