④ TRICK

 出演: Christian Campbell, J.P. Pitoc, Tori Spelling
 監督: Jim Fall
 1999年 アメリ
 (東京国際ゲイ&レズビアン映画祭出品作品:第何回目かは忘れました)


 ナンパで出会ったゲイブリエルとマークは二人きりになれる場所(というのは婉曲な表現ですね。はっきり言えば「ヤれる場所」)を探しますが、どこに行っても邪魔が入るばかり。ヤリ場所を求めて夜のニューヨークの街を行ったりきたりする二人を描いたロマンティック・コメディ。「ビバリーヒルズ白書」シリーズのドナ役でお馴染みのトリィ・スペリングがゲイブリエルの親友キャサリンの役で登場します。
(どーでもいいけど、日本で「TRICK」と言えば例の仲間由紀恵阿部寛のアレですよね。キーワード登録もそっちでしてあるみたいだから、間違って検索してくる人いるんだろうな。)

 「トリック」とは one night stand つまり一晩限りの相手を指すスラングなんですね。私はこの映画で初めて知りました。タイトルの通り最初は「ヤろうぜ」的な乗りから始まった二人の関係が、一晩の間に色々なトラブルを経て次第に変化していき、最終的にとてもロマンチックなお話になっています。恋のはじまり、出会いのときめきを思い出させてくれる映画。

 ちょっとだけ気になるのは女性の描き方でしょうか。キャサリンは悪気は無いけど気の利かない女性。トリィ・スペリングはこの映画の出演俳優では恐らく一番有名なんだろうに、あまりに道化的な扱いで気の毒なくらい。キャサリンの女友達も「これが映画に出てくる人か」っていうくらい不細工だし、ゲイブリエルにマークの悪口を吹き込むドラァグ・クィーンはとんでもなく根性悪だし(もっともドラァグ・クィーンを女性枠で考えることは無理があるかも)。監督は女性嫌いなのかしら?


 映画はニューヨークの夜明けの美しい空から始まり、翌日の夜明けの空で終わります。それがとても綺麗で、この作品の「恋の胸キュン」な雰囲気とよくマッチしていると思います。でも、この映画の製作は1999年。オープニングでもエンディングでも、夜明けのブロードウェイ(多分)の向こうには朝日を浴びたツイン・タワーが聳えているんですよ。こんなに可愛らしい物語の生まれた街にその後起こることを映画を見る私達は知ってしまっているわけで、その事実に心を乱されます。見終わった後のルンルン(←死語?)な気持ちを純粋に楽しむことができる日がいつかまた来るのでしょうか。