⑤ ジェフリー! 愛はセックスだけじゃない

shigeri2004-09-25

 原題: Jeffrey
 出演: スティーブン・ウェバー、マイケル・T・ウェイス、パトリック・スチュワート
 監督: クリストファー・アシュリー
 脚本: ポール・ラドニック
 1995年 アメリ

 ゲイで俳優志望のジェフリーは、エイズパニックに嫌気が差してセックス断ちを決意しますが、その矢先にモロタイプのスティーブと出会います。最初は気が進まないながらもスティーブへの思いが断ち切れず、ついにデートすることに。ところがスティーブから「僕はHIVポジティブなんだ」と告白され激しく動揺するジェフリー。果たしてジェフリーの恋の行方は・・・。エイズだけでなく、ゲイバッシングや宗教など重いテーマを随所に取り入れながらも(実際、胸が痛んで泣いちゃいそうなシーンもあります)楽しくお洒落なラブストーリーに仕上がったロマンティック・コメディ。
 「イン&アウト」のポール・ラドニック原作の舞台劇の映画化作品で、ゲイ擁護で知られるオリンピア・デュカキスや、ゲイであることをカミングアウトしているネイサン・レインも出演しています。


 このカテゴリーでは初めて日本公開作品を取り上げてみました。
 ウィットと皮肉が利いていてとても好きな映画です。ゲイ版「恋人達の予感」という評もあるように、まずロマコメとしてとても面白いと思いますしね。笑えるネタはテンコ盛りで、とても紹介しきれません。あえて取り上げるとすれば、電話で「セックスはやめたんだ」と両親に告げたら、お母さんもお父さんも色々なセーファー・セックスのアイデアを提案してくるところですね。それから「セックスのときに致命的なものは?」というクイズの答えが「蛍光灯」っていうやつ。(意味わかりますかー?w)
 私の一番好きなキャラクターはジェフリーの友人役のパトリック・スチュワート。「スター・トレック」のエンタープライズ号の艦長や「X-メン」のミュータント達のボス(名前忘れた)役とは打って変わって、ゲイの(しかもオネエな)インテリアコーディネーターを嬉々として(多分)演じています。

 ひとつ合点がいかないのは邦題のサブタイトル「愛はセックスだけじゃない」。原題にはそもそもサブタイトルなんてついてない上に、映画の内容には合ってないと思うんですよねえ。「愛はセックス込み」だからジェフリーは悩むわけだし、「セックス込みの愛」を選択するというのがこの映画の重要なところなのに。


 メインのテーマについては、エイズで友人を亡くしたジェフリーが、それでもなお最後に「恋」を選択するのは凄いことだなぁと思います。そこまでさせる「恋」の力って何?とか。と同時に、でも現実の世界では「好きになった相手がHIVポジティブだった」というのは今や普通にありうることなわけですから、ジェフリーの選択はことさら特別なことでもないのかなぁとも思います。
 そういう意味では、HIVの問題をいわゆる一つの「恋の障壁」にまで引き下げて、しかもことさら矮小化したり非現実的なものにするわけでもなく描いたのがこの映画の魅力でしょうか。