「真夜中の弥次さん喜多さん」
いやー、切ないっすよ。初めから終わりまで。途中で何度も泣きそうになりました。
「とんとリアルがわからねえ」「こんなリアルはもう沢山だ(ウロ覚え)」という喜多さんのセリフのリアルさ。
夢と妄想と現実がゴチャ混ぜの世界も、最近の私自身が毎晩のように「リアルな夢」を見ているせいか、映画の世界がそのまま私の夢の延長のような気がしました。私もまた世界のリアルさをいまひとつ実感できないままあてのないお伊勢参りの旅をしているような気分です。(事実ある意味ヤク中だしね)
こんな世界をよく映画にできたなあ。「有名人」が色々顔を出してたけど、邦画によくありがちな楽屋落ちにはなっていなくて、ちゃんとストーリーの中にハマってたと思うし。私はクドカンって今まで特に興味なかったけど、やっぱり凄い人なのかな。
原作については、私は一部だけしか読んだことが無いのですけれど、それが幸いしていたかも知れません。でもそのうち原作も通して読んでみなくちゃ。
凄い違和感があったのは、観客がほとんどヘテロ(と思われる)カップルだったこと。あと、変に「笑い」が起きていたところ。この映画って少なくともヘテロのデート向きじゃないと思うし(表現されている世界はあまりにもヘヴィだ)、コメディ映画でもないはず。少なくとも私にとっては。
まあ、カップル幻想を強化するようなところもあるにはあるので(しかし弥次さん喜多さんの「愛」は単純なカップル純愛ではなく、いろんなところで破綻・矛盾もしている)、そこにだけ注目すればデート映画にもなりうるのかな? でも、この映画を見て「良かったねえ」と笑いながらその後一緒に食事したりセックスしたりするヘテロのカップルというものこそが私にはとんとリアルさに欠けます。