「白い船」
ちなみに僕が映画を見てけなさないことはほとんど無いのでそのつもりで読んでね。
ビッグハートで「白い船」の上映会があって、前売りで1000円と安かったので行ってみた。
結論を先に言うと、映像は良かった。綺麗だったし、迫力があった。音楽もいい感じ。
でも脚本が悪すぎ。演技もヒドいのはあったけど、脚本があれじゃ演技以前の問題かなって気がする。僕は子供をダシにした映画は嫌いだけど、大人達の文部省推薦的な演技より、子供たちの方がよっぽど良かった。それに海や山の写し方がすごいなと思った。錦織監督はもともとミュージック・クリップなんかを作ってた人らしいから、ビジュアルの感性はそこで磨かれたのかなって気がする。その分ホンの悪さが引き立つのが皮肉なところ。
島根半島の漁村の小さな小学校の子ども達が、教室から見える海の沖合いを通るフェリーに憧れて、やがて子ども達とフェリーの乗組員の間で手紙やファックスのやりとりが始まる。そしてそのフェリーに乗りたいという子ども達の願いを大人たちが叶えようとする。という実話に基づく映画。
その「実話」の部分だけでは物語的に盛り上がりに欠けると判断したのか、映画では映画向けの「ドラマ」が盛り込まれているわけ。その物語があまりにもクサい・・・。淡々とした日常の中の喜びを等身大で描くことができたら、それが一番良かったんじゃないかと思えてしまう。
「ドラマ」と平行して、「生まれ育った町への愛情」と「やがて若者が出て行ってしまう町の現状」というジレンマも語られている。やりたい気持ちは分かるけど、それを呆れるほど説明的で唐突なセリフで片付けちゃってるもんだから、目もあてられない。
去年観た「ハッシュ!」で秋野暢子が演じた、「家」や「立場」に絡め取られながらも必死でジタバタしてる兄嫁のリアリティ。あれこそがこの映画にも欲しいんだけど、あんなもん表現しちゃったら、「製作委員会」方式で作ってる映画だもの、地元のバックアップが無くなって空中分解だよねえ。
あー、なんか文句ばっかり言ってるのも我ながらヤになるなあ。
せめてフォローしておくと、映像美はいいよ、いい。うん。島根の宣伝とイメージアップには最高。町おこし的には成功だよね。(それが映画をダメにした元凶なのかも・・・)
なお、ヤフーJAPANで「白い船」で検索すると、映画の公式サイトおよび映画の舞台となった島根県平田市塩津町の紹介サイトにヒットするよ。公式サイトでは予告編も見れるよ*1。
あとね。
好平(準主役の男の子)のお父さん。いいの。イイ。今井雅之を丸顔・小デブにした感じでカワイイ!!
なのにね、せっかく買ったパンフレットにも、公式ホームページにも、「好平の父」というクレジットは見当たらない。役者さんの名前だけは出てるんだろうけど、それじゃ誰が誰だかわかんないじゃないよ、バカ。その他の、知名度はあるんだろうけど映画の中では端役でしかない俳優ばっかりピックアップしてないで、主役と絡む俳優さんは無名でもちゃんと取り上げろっつーの!
あんまり腹が立ったので、帰りにリビドー(っていう名前のケーキ屋さんが山陰にはあるのよぉ)でケーキ4つ買って帰って、食べながら「プリシラ」のDVDを見て癒されるワタシであった。そんな、とってもオカマな子供の日。
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本日の写真: 一昨日の大山ベストショット。残雪見える?
*1:2003年5月現在。いつまで残っているのかな?