メトロポリタン・ミュージアム♪ by 大貫妙子。

shigeri2003-06-26

 本日の一枚: ハーレムにて。バス停近くの公園の噴水?で水遊びに興じる子供たち。


 またしても深夜あるいは早朝に目が覚めたのでテレビを見てた。ケーブルでチャンネル数はいったいいくつあるんだろうな。100や200はあると思うんだけど。まず天気予報を見て週末の天気をチェック。金曜日は雨みたい! ああー、雨の中のキャンプって嫌だなあ(どよーん)
 でも今から心配したってどうしようもないのでチャンネルを変えたらちょうど始まった『アザーズ』を見てたけどそのうち眠くなって、寝ちゃう。8時過ぎに仕事に出かけるTの気配に目覚めておはようを言ってまた寝る。11時頃に今度こそ起きてシャワーを浴びてHと一緒にシリアルを食べて、今日はバスに乗ってメトロポリタン美術館へ。もちろんバスに乗るのも初めて。とは言え目的地までの路線とかを自分で考えて乗るわけじゃなくてHの付き添いだから何も苦労は無いわけで、だからバスも地下鉄も何度乗っても乗り方(路線や下りるべき駅名など)を覚えられないんだなあ。


 常に混雑している道路事情を考えると、時間通りに目的地に行きたい時は地下鉄を使ったほうが確実なのかも知れない。一方バスは乗っている間の町の景色が眺められるのが楽しい。傾向として乗客の大部分が有色人種だっていうのは地下鉄と同じ。これは僕らがバスにしても地下鉄にしてもイースト・ハーレムで乗り降りするっていうのが関係あるのかも知れない。ところで今日僕が乗ったのは、電車みたいに二両の車が連結してるバス。岡山市路面電車の一部にもそういうのがあるよね。どうやら新しいバスみたい。
 やがて5番街を走っていてメトロポリタン美術館が近づいてきたときに、突然運転手さんが運転席を離れて車両の中央部分の降り口のところに行って、何か機械操作してる。バスに乗ろうとしているお客さんもいるけど、みんな乗り口(乗るのは前からで運賃先払い。降りるのはどこから降りてもいい)の前で大人しく待ってる。運転手さんは一体何してるんだろう? と思っていたら、車椅子の乗客がバスを降りられるように可動式のスロープを出していたというわけだった。スロープが出てきて車椅子の人が降りてスロープが引っ込むまで結構時間がかかるんだけど、乗客もバス停で待ってるお客さん達も当たり前っていう顔をしてる。


 バスは長い長いセントラルパーク沿いに延々と走る。「この辺は『ミュージアム・マイル』っていうんだよ」とHが教えてくれた。5番街を挟んでセントラルパークの反対側は高級住宅街で、古い大きいアパートメント(日本語で言えば『マンション』だわね)がずらぁっと並んでる。その大部分は昔はアパートメントじゃなくて「家」だったんだと。今でも一部はそうらしい。建物(ビルヂング)まるごと一つが家っていうのじゃなくても、もしかして1フロアが一世帯っていうのもあるかもね。とっさにデビ夫人が頭に浮かぶのはワイドショウの見すぎ?


 んで、やっと目的地のメトロポリタン・ミュージアム(さっきは『美術館』って書いたけども、内容的には美術館と博物館を合わせたようなもんだから日本語的には適当な言葉が見つからないの)に到着。とりあえず喉が渇いたのでまずエントランス前の屋台でペプシを買って飲んで、沢山出てるおみやげ物の屋台をひやかしてからミュージアムに入った。うわさに聞いたとおりデカいわー。それも、建て増しを繰り返して大きくなっていった感じのデカさ。(単に僕の推測ね。真相はわからんです)アメリカっていうとヨーロッパに比べると「新興国」のイメージがあったから、しかも「メトロポリタン」っていうモダンな(?)言葉の響きもあってモダンな建物を想像してたけど、実際はそのほかのマンハッタンの建築物の多くのように、ギリシャ・ローマな白亜の石造りの建物だった。よく考えりゃ、いくら新しい国って言っても東海岸の場合はヨーロッパからの入植からかれこれ500年とか経ってるわけだし、当たり前なんだよねえ。自分の「イメージ」の底の浅さを実感。


 それはともかく、まず受付で12ドルの入場料を払う。すると金属でできたバッヂみたいなものをくれる。これは別館かどっかに入場する際の入場パスみたい。でも今回は本館だけでも回りきれないから関係ないや。学生さんやお年よりはIDを見せれば半額くらいになるみたい。あと、ミュージアムの会員になるとタダっていうようなことが書いてあった。後で知ったんだけどもこのミュージアムは基本的には民営で(財団かしら)、もちろんニューヨーク市も維持費の一部を負担してるみたいだけれども、寄付とか会費とかによって賄ってる部分も大きいらしい。で、その「会員」になるのに必要な費用、たとえば入会金とか年会費とか、がいくらなのかってことは料金表には書いてなかった。高いのか、安いのか? どうせ全部見て回るのに何日もかかる広さだし、展示物は定期的に入れ替わるみたいだから、マジで所蔵物を全部見たいなら、いちいち毎回入場料を払ってたら大変・・・・。


 まずはエントランスホールのソファに座って、Hと二人でパンフレットを見ながらどこを回るかを相談。どこに行きたい?と聞かれても特に好きなジャンルがあるわけじゃないけども、ちょっと考えて古代ローマのと、アッシリアのコーナーを希望。なぜなら男の裸が見れるから(単純!)それにアメリカのモダン・アートと、期間限定の特別展の「マネとスペインの画家たち」を見ることにした。Hは6時から仕事なので、逆算すると5時までに家に帰らないといけないから、ここにいられるのは正味3時間ほど。回りきれるかしらん? そんなに歩き回ったら腰が砕けちゃう気もするし。
 そんで歩き始めたはいいけれど、どのテーマのコーナーも広いし、展示物の数は多いし、おまけにコーナーからコーナーへと移動する間の廊下とか階段とかバルコニー(一階の巨大なエントランスホールは吹き抜けになってて二階から手すり越しに見渡せるの)にも沢山の展示があって、そんなのもウッカリ見入ってしまうからあっという間に時間が過ぎちゃって。おまけに足腰が疲れてくるし。でも、ありがたいことにあちこちに休憩用のソファとか椅子が置いてある(しかもデカい絵の正面とかのいい位置に)から、休み休み。


 館内にはあちこちに警備員(女の人もいるけどみんな強そう)が立ってる。大きな美術館だから警備員の人数が多いのは当然だけども、それだけじゃなくて「警備員の人口密度」がめちゃ高そう。そのかわり絵の前にはロープとか張ってないからすぐ近くまで寄って見ることができる。管理費は莫大なんだろうなあ。そもそもこれだけのコレクションを揃えるのにいくらかかったんだろう。寄贈とか、他の美術館からの借り物もあるみたいだから全部が全部ここの所有物じゃないとは言え。写真を撮っていいっていうのも驚いた。もちろん油絵なんかは褪色したりするので撮影は不可。一応「ここは撮影OKですか?」と警備員さんに聞いてから何枚か撮ってみた。
 ローマ彫刻とかマネの宮廷画などの大きな作品は広いホールみたいな部屋の壁にでーん!って飾ってある一方で、小品は比較的狭い通路みたいなところに並べてあったり、あるいは天井がガラス張りで太陽の光が溢れてる部屋があったりと、館内の場所によって雰囲気がガラっと変化するのも面白いなぁって思った。


 モダン・アートのところの展示物のいくつかは本当に「モダン」つまり最近の作品がいくつもあった。過去5年以内の作品もあった。僕は詳しくないからわかんないけども、超有名な作家の最新作なのか、それとも新進気鋭の作家の作品なのか。後者だとしたら、評価が固定していない作家のものを独自で評価して買い上げるようなシステムがあるのかな。
 さて、ローマとかアッシリアとか(通りすがりに見た中国とかも)の「骨董品」つーより世界遺産みたいな展示物はともかく、絵画の中で僕が一番グッときたのはジョージア・オキーフ。タイトルは忘れたけども有名なやつ。砂漠の青空をバックにしたバッファロー(?)の頭蓋骨。これは本で見たことがあって、でもそのときは別に何も思わなかった。実物はけっこう大きくて、何よりもその青空の色に引き寄せられるような感じ。「いつか、どこか」に連れて行かれるようなあの特別な感覚。絵を見て「あれ」を感じたのは初めてだなー。理由もなく涙が出てきそう。


 そんなこんなであっという間に4時を過ぎて足も腰もクタクタになったところで帰宅の時間。その前にお腹が空いたので歩いて街角のピザ屋さんへ。うはー、ここはなんだかメチャ忙しそうなお店だなー。店員さんは早口だしお客さんは次々と注文をまくし立てるし。こんなとこ一人じゃ絶対に来れない・・・・ちゅーか気後れして永久に注文出来なさそう。Hもタイミングをつかみ損ねて後から来た客に先を越されたもんなあ。そんでもとにかくピザをゲット。Hはチーズだけのシンプルなやつ。僕はトマトとサラミがのったやつを。そして1ピースだけで十分腹がふくれる量なのは言うまでもない。


 アパートメントに帰ってからシャワーを浴びて、Hは着替えて仕事に出かけた。いまは夏休みなので、サマーセッションの夕方だけの授業とかプライベートの授業を担当してるんだって。僕は帰宅したTと二人で明日からのキャンプの準備。って言っても、僕はもともと旅の人で荷造りはできてるから、二人の荷造りの手伝いっていうことになるわけだけど・・・・これが凄いんだわ。荷物の量。テント、寝袋、衣類、バーベキュー用コンロ、食器や調理器具、墨、3日分の食料(肉、肉、肉!)なんてのはもちろんだけど、山のようなCDとカセットテープ、フトン(スプリングの入ってないマットレス)、巨大なバケツくらいの大きさのドリンククーラー(に満タンのアイスティー)、食料品を入れておくためのデカいクーラーボックスが二つ、ランタンが6つ(なんで6つも?)、ラジカセ、エアロマット、靴、枕 etc.etc.... リビングとキッチンに積み上げられていく荷物の山。「ねー、ほんとにキャンプに行くの? 引越しするんじゃないんでしょ?」って言ったらTはニヤニヤしながら「いつもこうなんだよ」だって。
 Hが帰宅して夕飯を食べてから再度荷造りの続き。Tはお父さんと明日の車の手配について電話でまくし立ててる。二人は車を持ってなくて、必要なときだけお父さんやお母さんに借りてるんだけども、キャンプの3日間借りっぱなしというわけにいかないから、お父さんに迎えにきてもらってレンタカーを借りに行くみたいなんだな。


 深夜になってようやく一段落。
 あとは明日の朝に車を借りに行って、クーラーボックス用の氷を買って帰って、荷物を積み込んで出発するのが2時の予定。ふー!考えただけでも大変そう。でもいよいよ念願のキャンプ。楽しみだなー(^_^)


 ・・・・と、ここで少し残念なニュースが。チャット友達で一緒にキャンプに行く予定にしていたUさん(ネイティブ・アメリカンのハーフの人)が、パートナーがヌーディスト・キャンプに行くのを承諾しなかったというので結局来れなくなっちゃった。そっかあ・・・・。仕方ないなあ。別にヌーディスト・キャンプって行っても必ず脱がなくてもいいってことなんだけど、抵抗ある人を無理強いしてもね。
 ということで「また機会があったらね!」とチャットで伝えておいた。でも「次の機会」ってのは僕にとってはけっこう難しいかも。まさに全てが一期一会って感じ。