キャンプ一日目。

shigeri2003-06-27

 朝は9時過ぎから始動。今日も引き続きメチャいい天気で暑い。シリアルとかコーンフレークで朝食にしてシャワーを浴びて、Tのお父さんの到着を待って、一緒にレンタカー屋へ。Tが運転して出てきた車を見ると・・・・普通のセダンじゃん。てっきりワゴン車とかワンボックスカーを借りてくるんだと思ってた。セダンって言ってもアメ車だから日本車に比べりゃ多少は大きいけど、この車にあの荷物が全部入るわけ? でも二人は「大丈夫」って言うから大丈夫なんだろう。というわけでここでお父さんと別れて、僕ら3人は借りた車に乗って(クライスラーのコンコードってやつ)まず氷屋さんへ。キューブとブロックの氷を買っていったん帰宅。その氷をアイスティーの入ってるクーラーと食料品のクーラーボックスに入れる。この段階ですでに「計算違い」が・・・・氷を入れてしまうと、持って行くはずの食料品がクーラーボックスに納まらない! 少し食料を減らしてなんとか詰め込んで、さてこれからいよいよ車に積み込み。


 ところが。やっぱり入らないのよー。クーラーボックスにしても衣類やタオルの入ったかばんにしろ、かさばる荷物が多いから。極めつけはフトンマットレス。僕は最初からどう考えても入らないだろうって思ってたけども、やっぱりどうやっても入らない。「去年は持っていったんだけどなあ」ってなおもトライする二人に、このままじゃラチが開かないと思ったので「じゃあ僕がキャンプ用のエアロマットを買うから、このフトンは諦めようよ」って提案して、そうすることになった。やれやれ! 荷物が増えるのは世界のオカマに共通なのかなー。ここまで凄い人は経験ないけどねえ(笑)
 車と二階の部屋の間を数往復して残りの荷物をなんとか詰め込んだらもう汗だく。でも予定してた2時にほぼ間に合った。


 いよいよ快適なドライブが! と思ったらおっとどっこい、平日の昼間だっちゅーのに道はすごい混雑。ところどころ渋滞もしてるし、なかなか進まないねえ。ノロノロ運転を交えながら車はハドソン川を渡ってニュージャージーへ。運転はTがしてたんだけども、渋滞はするし、昨晩の準備での夜更かして疲れてるのもあって、なんだかとっても眠たそう。これじゃヤバいっていうんで、いったんフリーウェイを離れてハンバーガーショップへ入り、Hと運転交代。
 次は「Campmart」っていうキャンプ用品専門のホームセンターみたいなところに行って、マットレス代わりのエアロベッド(足踏みポンプ内蔵)を買う。シングルサイズで40ドルほど。実は今日行くHillsideっていうキャンプサイトはは地面が大きめの砂利に覆われていて、薄いマットだと痛くて眠れないんだって。ところで、今日買ったエアロベッドはなかなかいい物だったけど、空気を抜いて畳んでもそれなりの大きさになるから旅行鞄には入らなくって、帰国するときに置いてきた。また一緒にキャンプに行けるといいな。
 さて、キャンプ屋さんの後は遅い昼飯でハンバーガーショップに入った。ロッテリアみたいな感じで日本のお店とよく似てる。だけども店員さんは愛想悪いねえ。僕はハンバーガーとポテトとかがセットになった「コンボ」のSセットを頼んだ。味はいたってフツー。


 そのあとはインターステイト(フリーウェイ)に戻って、一路ペンシルヴァニアのキャンプサイトへ。徐々に渋滞は解消して、運転を代わってもらったTはその後は眠気が消えたらしく、クランベリージュースに赤ワインを混ぜたカクテル(?)を作って僕にも飲ませてくれた。天気予報では午後から雷雨の恐れっていうことだったけどそれも無く、綺麗に晴れた青空と緑の森のほかは何も見えない景色が続く。って言うかさ、インターステイトの両側ってほとんど森とか林で、たまーにその切れ目からその向こうの景色が見えるだけ。「見えた!」と思ってデジカメを構えてスイッチを入れても、起動するまでにはまた森に隠れてしまうということの繰り返しで、路上からはあんまりいい風景写真が撮れなかった。
 時々カッコいい車が通る。あと、日本車がすんごい沢山走ってる。僕の印象ではトヨタのカムリをよく見かけたなあ。ほかにもカローラとか、ホンダのアコードとかとにかく色々。BMWやベンツもよく見た。全体に、日本と比べて極端に汚い車とか壊れかけの車はそんなに見なかった。一台だけ、ボンネットがめくれたようなひどい壊れ方をした車が走ってるのは見たなー。よくあれで走れるなっていう・・・・それを見たTもHも大笑いしてたから、そこまでひどい車はやっぱり珍しいみたい。


 キャンプ場には予定を大幅にオーバーして8時前に到着。ハイウェイを下りたところの商店でアルコールなどの飲み物を買い足して、いよいよHillsideへ。最後の分かれ道を曲がると後は細めの砂利道になって、でもこの道はキャンプサイトで行き止まりということだから、僕らの前後に走ってる車もみんな「お仲間」なんだな。うふふ。(←意味無し)
 やっとキャンプサイトの入り口に到着。このキャンプ場は私有地で、利用者は受け付けて会費と使用料を払って、ゲートを開けて入場することになるの。利用者は21歳以上であることが条件。もちろんゲイ男性であることも。私有地って言っても多分山の一つや二つ分はある広大な敷地で、サイトが100とか200とかあるのかな? この週末はこの夏最初の晴れの週末で、しかもゲイ・プライド・ウィークでもあるので、受付のおじさんの話だとかなりの人数(数百人)が来てるということだった。受付では身分証を見せて会費を払い、会員証を発行してもらう。僕の会員番号は1767番。これは2003年の通し番号で、利用のピークはまだこれからだから、年間の利用者は3000人は軽く越えるんじゃないかな。5月から9月までの営業で、ひと夏に何度も来る人がいるらしいことを考慮に入れると、年間延べ1万人? 何にせよすごい人数だよね。
(このキャンプ場の公式ウェブサイトはこちら ⇒ http://www.hillsidecampground.com/ )


 ゲート前の事務所(素敵なログハウスよん)で身分証(僕はパスポート)を見せてお金を払って、会員証とステッカーをもらう。両方ともヒルサイドのシンボルマークのモミの木とウサギがデザインしてあるの。受付のオネエなオヤジも愛想がいいし、ゲートを入って自分たちのサイトに向かう道すがら、対向車とやっとすれ違えるくらいの砂利道をゆっくりゆっくり走りながら両側に並ぶ先客たちのサイトを見ていると、みんなそれぞれに工夫を凝らしててすごいなあ。キャンプ場だからテントが沢山あるのかと思ったら、一部のエリアは camper つまりキャンピングカー専用で、ずらーっといろんな種類のキャンピングカーが並んでる。しかもその多くはひと夏をここで過ごそうって感じの「家」に仕立ててあるんだよ! サイトの周囲にぐるっと低い石積みの塀をめぐらせてあったり、サイトの入り口からキャンピングカーのドアまで飛び石が敷いてあったり、花壇が作ってあるところも沢山あるし、ターフを広げた下にサンデッキをこしらえてあるサイト、彫像やオブジェが飾ってあったり、レインボウの風車が沢山回っていたり、夜に足元が暗くならないようにランタンや大きなロウソクがあちこちに据え付けてあったり。まるでお伽の国の妖精のおうちが並んでるみたい。


 夕暮れの近い時間ということもあり、車のやテントの外で食事をしたり椅子に座ってくつろいでいる人が多くて、目が合う人ごとにみんな "Hi!" とか "How are you doing?" とか声をかけ合ったり手を振ったり。知らない人とでも親しげに挨拶を交わせるという安心感。初めてのニューヨークの街の緊張感にビビりまくってた僕にとってはまさに別天地。「男好きの男」だけで集まるというのは、こういうことだったのか!という実感がジワジワと湧いてきた。
 僕たちのサイトはわりと木の多いエリアで、ほかの人たちのサイトもキャンパーじゃなくてテントがほとんど。ただし隣近所のサイトとの間には木が沢山生えてて距離も結構あるから、わざわざ出かけて行かない限りはお隣さんと顔を合わすこともないけどね。日暮れが迫ってきていたから到着と同時にまずテントの設営。デカいテントだけど基本的には小さいドームテントと同じく組み立てはとっても簡単。ただ地面がどこまで掘っても砂利なので、固定するためのペグが打ち込めない。砂利の地面に手で穴を掘ってその中にペグを立て、その周りを再び砂利で埋めるということしかできない。したがって引っ張ればスポッと抜けちゃうんだからあまり意味が無いかも(汗)でも今回は晴天続きで風が吹かなかったから問題は無かった。
 テントが完成するともう日が暮れかけてきた。急いでランタンの設置。木と木の間にロープを張って、そのロープにランタンを3つ吊るす。サイトに据え付けてある木のテーブル&ベンチの上にさらに3つ。それからいったん車で事務所まで戻ってキャンプファイヤー用の薪を買う。一晩分で10ドルくらいだったかな? サイトにはこの地方特産(多分)の石で組んだ炉があるのでそこで燃やして明かりと暖を取るためで、料理は持っていった炭火用コンロ(Weber製)でするんだよね。直火で料理するのは難しそうだもんなあ。


 お料理係はHがやってくれるし大して手伝うこともないので、僕はキャンプファイヤー係をすることにした。Tが作るワイン&クランベリージュースを飲みながら、薪をうちわで煽る。最初は炭の着火用の液体燃料を薪にかけて火を付けたんだけども、昨晩から今朝にかけて軽く雨が降ったらしく薪が湿ってて、燃料だけ燃え切ってしまってなかなか薪まで着火しないんだわ。うちわは日本でJRの駅で貰ったFM岡山の宣伝のもの。こんなところで役に立つとはね。やがて薪が赤々と燃え始める頃には日もとっぷりと暮れて料理も完成。今日の献立は・・・・ハンバーガーとホットドッグだよーん。ハンバーグもソーセージも冷凍のものを焼いただけ。それを同じく焼いた赤ピーマンとかレタスとかと一緒にパンに挟んで、マスタードとケチャップをかけてガブリ! これがめちゃ旨いんだなぁ。そんでビールをグビグビッ! あー、生きてるってシアワセ(^_^) 日暮れとともにひんやりした夜気が降りてくる。キャンプファイヤーからの熱が心地良い。


 ところで夏の夜に森の中で裸になると、心配なのは蚊だよね、日本だと。だけども今回のキャンプでは虫除けとかかゆみ止めとかは準備してなかった。一応ランタンの油は虫除けの成分が含まれてるらしいけど、油ももったいないからずっと燃やすわけじゃないからなあ。T&Hに聞いてたみたら、過去に一度も虫に刺されたことがないんだって。事務所の人は「今年は春から雨が多かったから例年よりも蚊がいるみたいだよ」って言ってたのでもし刺されたらやだなって思ったけど、結局キャンプの間に一回刺されただけで、それも放っておいたらすぐ痒みがなくなる程度の軽いものだった。
 やっぱり蚊は熱帯な気候のものなのかな??


 食事が一段落してから、クラブハウスのパーティに行ってみた。懐中電灯の明かりを頼りに、点々と明かりの灯った他のサイトの間の道を歩いていく。クラブハウスが近づくと、最初に見かけたキャンパーのエリアに入ってきた。日暮れ後のこのエリアはまさにファンタスティックとしか言い様がない。クリスマスみたいな電飾や、ランタン、提灯、灯籠、ロウソク、たいまつ、ランプ etc. etc. 色んな種類や色や大きさのあかりと森の闇のコントラスト。決まりきった言い回ししかできないけど、マジで夢みたい。
 クラブハウスでは、外では大きなキャンプファイヤー、中ではハウス系の音楽が流れるダンスパーティが行われてた。踊ってる人も見てる人も、裸の人もいれば服を着てる人もいる。僕らは寒かったのでまだ服を着てた。踊ったら暑くなって脱ぎたくなるかな? でもここにきて、自分がカップルで来てないことがなんだかつまんないなぁっていう気がしてきた。だもんでキャンプファイヤーの見えるベンチに座ってビール飲んでたら、なんだか急に眠くなっていつの間にか船を漕いでたらしく、Hに「もう帰ろうか?」って声かけられて目が覚めて、自分でも今夜はこれが限界かしらという気がしたから素直に帰ることにした。

 
 そんで再び真っ暗なエリアを懐中電灯で足元照らして歩いてたら、暗闇の中から呼びかける声がした。見ると白人の熊、それともデブ?微妙?な皮のベストと皮の首輪だけ着たオジサンが、どうやら照明を持たずに歩いていて道に迷ったらしい。Tが話をして、オジサンのサイトは途中まで僕らと同じ道を行けばいいことがわかったので(各サイトはちゃんと番地がついてるのだ)、話をしながら(とは言えほとんどTが相手をしてたけど)一緒に歩いていった。
 通りすがりのあるキャンパーの前に、キャンバス地の椅子を並べて話をしている二人の熊オヤジがいた。どうやら彼らは去年H&Tと知り合った人たちみたいで、皆でしばし歓談。僕も「日本からわざわざ来てくれたんだよ」って紹介されて(という会話をこのキャンプにいる間何回したか数え切れない!)、分かる範囲でコミュニケーション。そのうち、最初に合流した皮ベストおやじと、このキャンパーの住人の熊オヤジの一人がなにやら親密な雰囲気に・・・・小さい声でささやきながら抱き合って、股間をまさぐり合ってる(*^_^*) やがて二人は車の中へ。いいなあ。


 自分たちのテントに帰り着いて、消えかけてたキャンプファイヤーにもう一度薪をくべてたら目が冴えてきたので、3人でお酒を飲みながら喋ったりただ火を見つめたりする。そしたらだんだん気持ちよくなってきて服を脱ぎたくなってきた。でもけっこう冷えてきてたもんで、とりあえず下半身だけ露出。ちょっと寒いけど火にあたってるとい〜い気持ち! これこれ。これがしたかったんだよぉー。みんなでハグし合うと、冷たい夜気の中で肌と肌が触れてなんともシアワセ。エロじゃなくても(エロも少しは混じってるか)こういう気持ちよさを分かち合える機会っていうのは、なかなかないよね。もちろん、この後でマジエロに発展できるパートナーが一緒にいたらなあっていう気持ちは拭いきれないけどね。


 さて、そんなこんなで夜も更けてきてそろそろ寝ようかなって思ってた頃、さっきの皮ベスト&首輪オヤジがふらっと現れた。さっきのキャンパーのとこで一戦交えて自分のサイトに帰るところなのかな? 天気の話とか他のキャンプサイトの情報交換とかの世間話をした後で、やおらオヤジは四つんばいになって自分の首輪についてるチェーンを引っ張り、「誰かこのチェーンを持って私を引きずりまわしてくれない?」って。あららら、実はエロモードに入ってたのね。僕が下半身露出してたから勘違いされたのかな。ごめん、そういうつもりはなかったんよ。
 HとTと僕の三人のうち、僕がそのオヤジと一番近い位置にいて、しかもオヤジは僕に目で訴えてるもんだから、どうやら僕が返答しないといけない雰囲気。困ったなあ。僕がSモードのときなら喜んでお相手してあげるところだけど、今はそういう気分じゃないから。それに英語で相手を辱めるにはボキャブラリーが足りないし、やってたら自分の未熟さで白けてきそうだもん。だから、"No, Thank you. I'm sorry." って言って断ったのね。そしたらオヤジは悲しそうな顔をして、でも素直に引き下がって「じゃあおやすみ」って闇に消えて行った。あーあ、なんか可愛そう。さっきの熊オヤジとは結局うまくいかなかったのかなあ。


 んーで、熊オヤジが帰った後で、トロイとハルが腹を抱えて笑い出した。オヤジが「引きずり回して」って言った段階ですでに二人は笑いをこらえてたのは知ってたけど、でも僕の "No, thank you" がトドメを差したみたい。僕は変なこと言ったつもりはなくて、丁寧に断りたかっただけなんだけど、不適切な表現だったかなあ?って質問しても二人は笑い転げるだけ。「そんなに笑ったら彼に気の毒だよ。彼は本気だったんだから」って言ったら火に油を注いでしまった。ますます笑いが止まらなくなる二人・・・・でも僕も酔っ払ってるもんだから終いにゃ釣られて笑い出してしまった。
 笑いながらみんなでテントに入って、笑い疲れて?就寝。静かな静かな森の夜。


 本日の一枚: これがキャンプサイトの会員証(1シーズン有効)。クレジットカードみたいに裏面に署名するの。もう18年やってるんだねえ。