男に抱かれたい男

 そんな「ラブ アンド セックス」の中の「SEXと禁忌(タブー)」の章で、「女の気持ちが分かりたいので男に抱かれてみた男」が出てきたので思い出したこと。

 私もこういう男の人を「抱いた」ことがあります。彼とはそれ以前からの長い付き合いで、彼は私が男好きだと知っていましたが私は彼のことを生粋のヘテロだと思っていました。何せいつも女関係には事欠かない男で、この前彼女としたセックスがどんなだったかとか嬉々として話すような奴だったもので、まさかこいつが男に興味あるとは一度も思ったことがなかったのです。ところがあるとき突然メールが来て、僕とセックスしてみたい、と。聞けば、最近男に興味が出てきたもののハッテンバとか出会い系を利用する気になれず、私ならとりあえず気心が知れてるし安全だろうということで連絡してみたんだということ。
 据え膳食わぬはホモの恥(?)というわけで早速段取りをして、ホテルの一室でいざ開始。「どんなことがしたいの?」と聞くと彼は「アナルに入れてもらいたい」と言うのです。合点だ!というわけでまずは指で前立腺をマッサージしてあげたのですが、別に何も感じないみたいです。「それより早くチンコ入れて!」と急かされたので、遠慮がちに(なにせ初釜ですからねー)私の長大な逸物を(ウソです)挿入すると、彼は感慨深げに「女ってこんな気分なのかなぁ!」と言ったんです。
 もしかすると彼は「男とやってみたい」というより、女の気持ちを味わってみたいというだけなのかも知れないな、とそのとき私は思いました。(アナル受けしたからって女の気持ちが分かるわけないんだけど。)


 もう一人、これは伝言ダイヤルで出会ったバイセクシュアルの男性。
 その彼は、付き合うなら女性の方がいいんだけど、セックスに限っては男の方が断然いいんだと言ってました。なんで?と尋ねると、女性相手だと自分がしたい「ちょっと変態なこと」が言い出せないんだそうです。彼は受け身なセックスが望みで、女性にも主導権を取ってもらって苛められたりアナルを責めてもらったりしたいんだけど、それを言ったら変態扱いとかバカにされたりしそうで言えないのだと。でも男相手ならその程度のセックスはいくらでも叶えてもらえるからいいんだ、って。
 これはまさに、「セックスを普通に語る」ことが欠けているからこその悲劇だと思います。ヘテロのセックスって大変なのね。
 サービス精神の旺盛な私が彼の望むままに色々してあげたのは言うまでもありません。