鶴女房

 id:chimadcさんから要請があっての「鶴の恩返し」語り。
 私はほんとにアウトラインしか覚えていないのでお役に立てるかどうか分かりませんが。

若くて貧しい農夫がいた。ある時農夫は罠にかかった鶴を見つけ、助けてやった。やがてある晩、それはそれは美しい女が農夫の家に現れて「私を嫁にもらって下さい」と言う。農夫は渡りに船とその女を妻とする。妻は畑仕事から家事全般まで全てをこなす働き者で、おまけに夜は一人で機を織るのだった。ただし、機を織る姿は決して見ないで下さいと言い残し、締め切った別室に篭ってしまうので農夫にはその姿が見えない。妻の織る布はそれは良い品で市場に持っていくと高く売れるので、農夫の暮らし向きは次第に豊かになっていった。しかし、それにつれて妻がやつれていく様子を心配した農夫は、ある日「決して見ない」という誓いを破って部屋の戸を開けてしまう。するとそこにいたのは人間の姿をした妻ではなく、あの時農夫が助けた鶴がわが身の羽を梳いて布を織っている姿だった。
 「決して見てはならぬと言いましたのに。もう私はあなたのもとにはいられませぬ。さようなら」そう言って鶴は空高く飛び去ってしまったとさ。

 この話の中で、農夫と妻の間に子どもができていたかどうかは記憶に定かではありません。