クィア・ジャパン・リターンズ

 やっと買いました。梅田の阪急ブックファーストで。私は大手の本屋さんには滅多に行かないので(広い店内で本を探すのがめんどくさいから)、梅田は生活圏内でありながらブックファーストに入るのは初めてでした。そこでまっすぐにレジに行って、「『クィア・ジャパン・リターンズ』ありますか?」と聞いたら店員さんが端末で検索してくれて、親切なことに取りに行ってくれました。端末の検索結果を見たら、「文芸・カルチャー」のコーナーに置いてあったようです。自分で探してたらジェンダー関係のところとかをウロウロしてただろうから、最初からお店の人に尋ねて良かったと思いました。
 これは余談ですが、発売日翌日に同じく梅田の紀伊国屋書店に行った時は、バックナンバーは何冊か並んでいましたが「リターンズ」は置いてありませんでした。堂山のショップ「ロッカールーム」でも「すみません、入荷は来週になります」って言われました。関西での営業にもうちょっと力を入れて下さいね、ポット出版さん!


 家に帰ってPCにノートン2005をインストールしながらサクサクっと読みました。
 表紙のデザインがカッコいいなと思いました。でも、その表紙から受けるイメージと違って中身は淡々とした文章が続いていて、でも全体に統一感があって読みやすいという印象です。一般のゲイ雑誌のようにゴチャゴチャコーナー割りしてないのがスッキリしてて良かったと思います。あと、チラホラと知り合いが顔を出していたりするのも楽しかったし。


 ただ、内容に関しては僕は「マッキー世代」ではないし、個人的にもマッキーにそれほどの思い入れがあるわけではないので、「なるほど、そういう人たちがいるんだ」という傍観者的な視点に留まって読んでいた気がします。
 それよりも、「The Portrait of Gay」の特集、およびプレ・マッキー世代の人たちの特集にはもう少しシンパシーを感じました。特に「うだつの上がらないサラリーマン」の田辺さんの記事は、世代を超えて「負け組」の私には一番身近さを感じる内容だったと思います。
 広告と記事が一体になっているという構成も面白いですねー。単なる広告よりずっと印象的。


 「ぼくらはどこから来て、どこへ行こうとしているのか」…このテーマのうち、「どこへ行こうとしているのか」については、マッキー世代よりは僕らプレ・マッキー世代の方がもっと切実に、現実感を持って考えていることなのではないかと思います。ていうか、私が個人的にそう感じているっていうことなんですけどね。30代後半になってから身体にはあちこちガタが来ているし、仕事だってこの先どうなるかわからないという不安ずっと抱えているし。
 今後、このプレ・マッキー世代を詳しく掘り下げる特集が組まれることを期待したいです。


 もうひとつ思ったのは、記事・広告・登場人物のほとんどが「東京」(あるいは首都圏)にまつわるものなんだなあ、という疎外感です。
 私のように人生のほとんどを地方(「地方都市」ですらない時間も長かった)で過ごしてきたゲイの経験とは、根底のところで全然違うんじゃないかなと思うんです。同じ世代でも地方のヘテロ社会に組み込まれて生活しているゲイの中には、たとえマッキー世代であろうと(偽装)結婚という人生を選んでいる人を私は沢山知っていますし、私自身の生活実感と東京(や二丁目)で青春時代を過ごした知人・友人の話を比較してみても、やはり「ゲイである自分」を形成するための情報やインフラ(と、その結果としての経験)は、地方と東京では格段に違うと思います。
 もっとも「地方のゲイ」というテーマについては、バディなどのゲイ雑誌で時々特集が組まれたりしていますから、この「クィア・ジャパン・リターンズ」(の、しかも第0号)で無理に取り扱うことでもないかという気はしますが、今後ぜひ扱ってもらいたい題材だと思います。
 その点、「Couple&Law」や「エイズ最前線!」などは、住んでいる場所に関係なく共感を持って読める記事でした。


 …で、次号はいつ出るんでしょうね?w